高周波特性

■表皮深さ(skin depth)
${\delta=\sqrt{\frac{2 \rho}{\omega \mu}}}$
⇒ ${\sqrt{f}}$に反比例する
導体抵抗は断面積(表皮深さ)に反比例するため、導体損は ${\sqrt{f}}$ に比例する。  
同軸ケーブルには導体損と誘電体損があるが、1GHzを十分に下回る周波数では導体損が支配的。
また、電磁波が導体内部に浸透する長さも表皮深さで決まり、δの数倍の厚みの導体で囲むことで、
外部電磁波を遮る効果があります(ファラデーゲージ)。

伝送線路において、低周波では導体損失が支配的である一方で、高周波では誘電体損失が支配的になります。
誘電正接は、誘電体に蓄えられたエネルギーに対して失われるエネルギーの比率で表されます。
また、GNDに対するRCの並列回路を考えて、コンデンサに流れる電流に対する寄生抵抗に流れる電流と等しくなります。
誘電正接 ${tan𝛿=\frac{誘電体損失(失われるエネルギー)}{蓄積される電界エネルギー}=\frac{寄生抵抗に流れる電流}{理想コンデンサに流れる電流}=\frac{1}{\omega CR}=\frac{G}{\omega C}}$
漏れコンダクタンス ${G=\omega C \tan{\delta}=\omega \varepsilon \frac{A}{d} \tan{\delta}}$
誘電体損失は、周波数f、誘電率ε、誘電正接tanδに比例します。

■特性インピーダンス:伝送線路上を進行する電圧波と電流波の比
※進行波(単独)に対して定義されています。(無限長もしくは無反射)
${Z_0=\frac{V^+}{I^+}}$

反射波を考慮すると、
${V=V^++V^-}$
${I=I^+-I^-}$

​ ■分布定数回路の特性インピーダンス
${Z_0=\sqrt{\frac{R+j\omega L}{G+j\omega C}}}$

R:単位長さあたりの抵抗 → 導体損失(ジュール損失)
G:単位長さあたりのコンダクタンス → 誘電体損失(漏れコンダクタンス)

低損失線路近似
${Z_0=\sqrt{\frac{L}{C}}}$

${伝搬定数: \gamma =\sqrt{(R+j\omega L)(G+j\omega C)}}$

低損失線路近似では、
${減衰定数: \alpha \approx \alpha_c + \alpha_d}$
${導体損失: \alpha_c= \frac{1}{2}\frac{R}{Z_0}=\frac{R}{2}\sqrt{\frac{C}{L}}}$
​ ${誘電体損失: \alpha_d= \frac{1}{2}GZ_0=\frac{G}{2}\sqrt{\frac{L}{C}}∝ f\cdot\tan{\delta}\cdot\sqrt{\varepsilon_r}}$
${位相定数: \beta=\omega \sqrt{LC}}$

■同軸線路の特性インピーダンス
${Z_0=\frac{60}{\sqrt{\varepsilon_r}}ln\left(\frac{D}{d}\right)}$ (内導体の半径d, 外導体の内半径D)
■ストリップ線路の特性インピーダンス
${Z_0=\frac{60}{\sqrt{\varepsilon_r}}ln\left(\frac{4h}{0.67\pi W (0.8+\frac{t}{w} ) }\right) (信号線の幅W, 基板厚h(上下GND間の誘電体の厚み), 信号線の厚みt) }$ 
■マイクロストリップ線路の特性インピーダンス
${有効比誘電率 : \varepsilon_{\text{eff}} = \frac{\varepsilon_r + 1}{2} + \frac{\varepsilon_r - 1}{2} \left(\frac{1}{\sqrt{1 + 12\frac{h}{W}}}\right)}$
${Z_0 = \frac{60}{\sqrt{\varepsilon_{\text{eff}}}} \ln\left( 8\frac{h}{W} + 0.25\frac{W}{h} \right)  (W/h≦1の場合)}$

■反射係数
${\Gamma=\frac{Z_L-Z_0}{Z_L+Z_0}}$
スミスチャートでは原点からの距離が ${\left| \Gamma \right|}$

■Sパラメータ(散乱パラメータ)
 入射する電力波の複素振幅に対する、反射・透過する電力波の複素振幅の比
  ${S_{ij}=\frac{b_i}{a_j}}$
 計算では、複素振幅 ${Ae^{j(\omega t-\beta z)}}$ で時間変動を無視して、(=時間依存項 ${Ae^{j\omega t}}$ を無視)
 位置に対する振幅(包絡線)と位相で考える。
 入力電力、反射電力、透過電力は、Sパラメータの絶対値の2乗 ${\left|S_{ij}\right|^2}$ で計算される。
 複素数の加算で電力を求める場合、 ${\left| a+b \right|^2= \left|a \right|^2+\left|b \right|^2+2Re(ab^*)}$ を用いる。

■定在波比
${\mathrm{VSWR}=\frac{V_{max}+V_{min}}{V_{max}-V_{min}}}$
${\mathrm{VSWR}=\frac{1+|\Gamma|}{1-|\Gamma|}}$
${\mathrm{VSWR}=\frac{\sqrt{P_f}+\sqrt{P_r}}{\sqrt{P_f}-\sqrt{P_r}}}$
VSWRは1~∞の値となり、VSWR=1.5で損失は4%
(スミスチャートでは、円の下側に目盛がある)

■入力インピーダンス
${Z_{in}=Z_0\frac{Z_L+Z_0tanh(\gamma l)}{Z_0+Z_Ltanh(\gamma l)}}$

無損失線路 ${\alpha=0}$ では、
${Z_{in}=Z_0\frac{Z_L+Z_0jtan(\beta l)}{Z_0+Z_Ljtan(\beta l)}}$

${l=\frac{\lambda}{4}}$ では、 ${\lambda/4}$ インピーダンス変換器となり、
${Z_{in}=\frac{Z_0^2}{Z_L}}$

■波動インピーダンス (電波インピーダンス)
${Z=\frac{|E|}{|H|}}$

■媒質の固有インピーダンス
${Z=\sqrt{\frac{\mu}{\varepsilon}}}$

${\mu}$が上がると、磁場を作りにくくなる。磁気抵抗が大きいため。
( ${B=\mu H}$ なので、 ${B}$ 一定では磁場を作る能力の硬さのような指標)

${\varepsilon}$が上がると、電場を作りにくくなる。電気抵抗(誘電抵抗)が大きいため。
( ${D=\varepsilon E}$ なので、 ${D}$一定では電場を作る能力の硬さのような指標)

自由空間では、
${Z_0=\sqrt{\frac{\mu_0}{\varepsilon_0}}=377 \Omega (120\pi )}$

■位相速度: 波数kに対する角周波数
${v_p=\frac{\omega}{\beta}=\frac{1}{\sqrt{LC}}}$

LとCの幾何学項が打ち消しあう場合
${v_p=\frac{\omega}{\beta}=\frac{1}{\sqrt{\varepsilon \mu}}}$
真空中では
${v_p=\frac{1}{\sqrt{\varepsilon_0 \mu_0}}=c}$

■光の屈折率nとの関係式
${n=\frac{c}{v_p}=\sqrt{\varepsilon_r \mu_r}}$
非磁性媒質での波動インピーダンス
${Z=\sqrt{\frac{\mu_0}{\varepsilon}}=\frac{Z_0}{n}}$
垂直入射での光の反射率 ${(n ⇔ 1/Z)}$
${R=\left(\frac{n_1-n_2}{n_1+n_2}\right)^2}$

■ポインティングベクトル(平均電力密度)
${<S>=<E \times H>=\frac{E_{\mathrm{rms}}^2}{Z}=\frac{GP}{4\pi r^2} [W/m^2]}$
Gはアンテナゲイン ${G(\theta, \phi)}$

■物性値

■群速度
${v_g=\frac{d\omega}{d\beta}}$

■群遅延
周波数応答 ${H(\omega)=\left|H(\omega)\right|e^{j \phi(\omega)}}$ の群遅延
${\tau_g=-\frac{d\phi(\omega)}{d\omega}}$

■結合線路とクロストーク
偶インピーダンス ${Z_{even}}$ :2本の線路に同じ大きさ・同じ位相で励振したときの1本あたりのモード特性インピーダンス
奇インピーダンス ${Z_{odd }}$ :2本の線路に同じ大きさ・逆の位相で励振したときの1本あたりのモード特性インピーダンス

結合線路の結合係数k
${k=\frac{Z_{even}-Z_{odd}}{Z_{even}+Z_{odd}}}$

${近端クロストーク:\mathrm{NEXT} \approx k}$
${遠端クロストーク:\mathrm{FEXT} \approx k \Delta v}$ ( ${\Delta v = v_{even}-v_{odd}}$ )

${磁気結合係数: k_L=\frac{M}{\sqrt{L_1L_2}} (-1≦k_L≦1)}$
${容量結合係数: k_C=\frac{C_{12}}{\sqrt{C_1C_2}} (0≦k_C<1)}$

対称線路では、 ${C_{11}=C_{22}, L_{11}=L_{22}}$ であり、
${近端クロストーク:\mathrm{NEXT}= \frac{1}{4}\left(\left|\frac{C_{12}}{C_{11}}\right|+\frac{L_{12}}{L_{11}}\right)}$
${遠端クロストーク:\mathrm{FEXT}= \frac{l}{T_r}\frac{T_d}{2}\left(\left|\frac{C_{12}}{C_{11}}\right|-\frac{L_{12}}{L_{11}}\right)}$
 (遅延時間 ${T_d=\sqrt{L_{11}C_{11}}}$, 立ち上がり時間 ${T_r}$ , 配線長 ${l}$ )

\[\mathbf{L} = \begin{pmatrix} L_{11} & L_{12} \\ L_{12} & L_{22} \end{pmatrix} ,\quad \mathbf{C} = \begin{pmatrix} C_{11} & -C_{12} \\ -C_{12} & C_{22} \end{pmatrix} \quad (\mathbf{L} と \mathbf{C} は対称・正則行列)\] \[W=\frac{1}{2}\mathbf{v}^T\mathbf{C}\mathbf{v}+\frac{1}{2}\mathbf{i}^T\mathbf{L}\mathbf{i}\]

■4つの基本的な電磁結合メカニズム
・伝導結合(共通インピーダンス結合)
・電界結合(容量結合)
・磁界結合(誘導結合)
・放射結合(遠方界結合):波長よりも十分に長い距離。放射源の導体長もλ/10以上。

■不平衡度
・電流分配率から定義される
・ ${h=\frac{I_1}{I_1+I_2}}$
・平衡線路ではh=0.5となる。
・平衡線路と不平衡線路をつなげるとコモンモード電流(電流の同相成分)が励起されノイズの原因となる
・ ${\Delta V_C=\Delta hV_N}$

■オペアンプ
${\mathrm{Vout}=A_{\mathrm{diff}}(V_+-V_-)+A_{\mathrm{CM}}\frac{V_++V_-}{2}}$
${\mathrm{CMRR}(同相除去比)=\frac{A_{\mathrm{diff}}}{A_{\mathrm{CM}}}}$
${\mathrm{PSRR}(電源変動除去比)=\frac{\Delta V_{CC}}{\Delta V_{out}}}$

■SパラメータのIVZの関係式
電磁波の散乱係数であるSパラメータとキャリア輸送方程式を小信号線形化した式に関係式があります。
I, V ⇒ ${g_m}$ ⇒ Y ⇒ Sパラメータ

\[a = \frac{V_k + Z_0 I_k}{2 \sqrt{Z_0}}\] \[b = \frac{V_k - Z_0 I_k}{2 \sqrt{Z_0}}\] \[S = (I+Z_0Y)^{-1}(I-Z_0Y)\]

KVL, KCLではGNDという基準がベースになる記述であるにに対し、
Sパラメータでは基準インピーダンスがベースとなる記述となる。

高周波特性2

ホームに戻る