前半で整理した通り,バイアス電流 ( I_D ) 一定の条件では
\[g_m \propto \sqrt{\frac{W}{L}}\]一方で寄生容量は
\[C \propto W\]とスケールする。
ここで重要なのは 増え方の非対称性 である。
設計者の意図は多くの場合,
( g_m ) を上げて利得・GBW・速度を改善したい
である。
しかし実際には,
結果として,
\[\frac{g_m}{C} \downarrow\]となる場合すらある。
これはつまり,
という直感に反する挙動を生む。
ミラー補償された 1 極支配系では,
\[\mathrm{GBW} \approx \frac{g_m}{2\pi C}\]であった。
ここでの実務的解釈は,
である。
( W ) を増やす行為は,
筋力を少し増やす代わりに,
もっと重い荷物を背負わせる
のと同じである。
ここが設計が壊れる最大のポイントである。
第2極は多くの場合,
に存在する。
近似的には,
\[f_{p2} \approx \frac{1}{2\pi R_2 C_2}\]で決まる。
第2段トランジスタの ( W ) を増やすと,
結果として,
\[C_2 \uparrow \quad \Rightarrow \quad f_{p2} \downarrow\]となる。
つまり,
設計者が触っていないつもりの第2極が,
ユニティゲイン周波数に近づいてくる
ユニティゲイン周波数付近で,
が効くと,
\[\angle A(j\omega_u) \approx -180^\circ\]となり,負帰還は正帰還に転じる。
結果:
ミラー補償容量 ( C_c ) により現れる零点は,
\[\omega_z \approx \frac{g_{m2}}{C_c}\]で与えられる。
第2段が共通ソース構成の場合,
その結果,
という不利な特性になる。
これは多くの場合,
RHP ゼロがユニティゲイン近辺に来ている
状態である。
第2段の役割は,
であり,GBW を決める主役ではない。
\[g_{m2} \uparrow \Rightarrow \omega_z \uparrow\]ではあるが,
の副作用が大きい。
補償容量に直列抵抗 ( R_z ) を入れることで,
\[\omega_z \approx \frac{1}{R_z C_c}\]の LHP ゼロを作り,RHP ゼロを相殺する。
経験的な安全条件:
\[f_{p2} \ge 3 \sim 5 \times f_u\]これは性能ではなく 安定性マージンの条件 である。