オペアンプ(Operational Amplifier)はアナログ回路の基礎デバイスであり、
その本質はトランジスタレベルの増幅段構成とフィードバック理論 にある。
本記事では、以下を体系的にまとめる。
一般的な CMOS オペアンプは、以下の 3 段構成で理解できる。
差動入力を ${v_d = v_+ - v_-}$ とする。
差動対では入力は左右に等しく分配されるため、
となる。
MOSFET の小信号式 ${i = g_m v_{gs}}$ より、電流変化は
となる。
差動電流(左右の電流差)
\[\Delta I_{\text{diff}} = g_m v_d\]片側に現れる電流変化
\[\Delta I = \frac{1}{2} g_m v_d\]OPアンプの入力段では、電流ミラーを介して片側の電流変化が次段へ伝わるため、
以降の利得計算では ${g_m v_d / 2}$ を用いる。
MOSFET の単段増幅器の利得は
\[A_v = g_m r_o\]で近似される。
多段構成では総合開ループ利得は
\[A_{\mathrm{OL}} \approx A_1 A_2\]となる。
出力段は負荷を駆動するための段であり、低出力インピーダンスと電流供給能力を提供する。
このとき、負帰還をかけると
${v_+ \approx v_-}$
が成り立つ(仮想短絡)。
特に 開ループ利得と周波数特性 が安定性に直結する。
閉ループ利得は
\[A_{\mathrm{CL}} = \frac{A_{\mathrm{OL}}}{1 + A_{\mathrm{OL}} \beta}\]ループゲインは
\[T = A_{\mathrm{OL}} \beta\]ループゲインが十分大きいとき
\[A_{\mathrm{CL}} \approx \frac{1}{\beta}\]となる。
閉ループ利得を上げると帯域が狭くなる。
ループゲイン
\[T(j\omega) = A_{\mathrm{OL}}(j\omega)\beta\]位相余裕 PM は
\[\mathrm{PM} = 180^\circ + \angle T(j\omega_{0dB})\]一般的な目安:
ミラー補償では、補償容量 ${C_c}$ により低周波側にドミナントポールを生成する。
右半平面ゼロ(RHPZ)となる場合は直列抵抗で補償する。
例: ${\mathrm{GBW}=20\ \mathrm{MHz}}$, ${C_c=2\ \mathrm{pF}}$
\[g_{m1} \approx 0.25\ \mathrm{mS}\]ドミナントポールを ${10\ \mathrm{kHz}}$ に置くと
\[A_{\mathrm{OL}} \approx \frac{20\ \mathrm{MHz}}{10\ \mathrm{kHz}} = 2000 \approx 66\ \mathrm{dB}\]スルーレートは
\[\mathrm{SR} \approx \frac{I_{\mathrm{bias}}}{C_L}\]負荷容量とバイアス電流のトレードオフを考慮する。