①入力整合:信号源とIC入力 ②出力整合:IC出力と負荷 (入出力インピーダンスもしくは特性インピーダンス)
の各々でインピーダンス整合する。(互いに複素共役なインピーダンスにする)
①はS11、②はS22 をスミスチャート上で動かして調整することで最大の電力を得る。
入力側①と出力側②は互いに影響しあうことに注意。(シミュレーターで最適化)
信号源抵抗 \(R_S\)
負荷抵抗 \(R_L\)
\(R_{\mathrm{high}}=max(R_S,R_L)\)
\(R_{\mathrm{low}}=min(R_S,R_L)\)
まずQ値を求めます
Q値についての説明
以下のQは抵抗比から求まるマッチング回路のQです。
素子値を決めるために、まずQ値を以下の式で求めます。
\(Q_{\mathrm{m}}=\sqrt{\frac{R_{\mathrm{high}}}{R_{\mathrm{low}}} -1}\)
マッチング回路のQを用いて、以下の4種類のL型マッチング回路を設計できます。
①RL > Rsで LPF型
直列にインダクタ \({X_{S}=QR_S}\) 、負荷と並列にキャパシタ \({X_{P}=-\frac{R_L}{Q}}\)
②RL > Rsで HPF型
直列にキャパシタ \({X_{S}=-QR_S}\) 、負荷と並列にインダクタ \({X_{P}=+\frac{R_L}{Q}}\)
③RL < Rsで LPF型
源側と並列にキャパシタ \({X_{P}=-\frac{R_S}{Q}}\) 、負荷と直列にインダクタ \({X_{S}=+QR_L}\)
④RL < Rsで HPF型
源側と並列にインダクタ \({X_{P}=+\frac{R_S}{Q}}\) 、負荷と直列にキャパシタ \({X_{S}=-QR_L}\)
リアクタンスの式から、素子値を決めます。
\(X_L = \omega L\)
\(X_C = -\frac{1}{\omega C}\)
※リアクタンスXの逆数で符号を入れ替えたものをサセプタンスと呼びます。
スミスチャートでは、インピーダンス⇔アドミタンスは180°回転(原点対称)の関係にあります。
■補足
● L型整合は 必ず1点の周波数でのみ完全整合
● Qが大きいほど帯域は狭くなる
● LPF型は高調波抑制、HPF型はDC遮断に有利
■スミスチャート上での点の動かし方
①負荷の点を打つ
②負荷に一番近い素子から順に操作して点を動かす
③源側のインピーダンス点と同じ位置(中心:50Ω)に持っていくとインピーダンス整合
■無損失素子(L,C)
直列のインダクタは等R円(等レジスタンス円)を上に動く
直列のキャパシタは等R円(等レジスタンス円)を下に動く
並列のインダクタは等G円(等コンダクタンス円)を上に動く
並列のキャパシタは等G円(等コンダクタンス円)を下に動く
※等レジスタンス円では、上に動く⇒時計回り、下に動く⇒反時計周り
※等コンダクタンス円では、上に動く⇒反時計回り、下に動く⇒時計周り
■損失素子(R,G)
直列の抵抗は等R円を直交する方向に動く(等X線(等リアクタンス円)に沿って移動)
並列の抵抗は等G円を直交する方向に動く(等B線(等サセプタンス円)に沿って移動)
※スミスチャート上の点が表しているのは、その地点より左側(源側)から見たインピーダンス
■等価抵抗について
直列回路では、電圧を増やすので、外から見ると抵抗が大きく見える。
直列では電流が共通で、リアクタンスは電力を消費しないので、同じ端子電圧の等価回路を考えたときに消費電力が等しいという条件より
\(P=RI^2=\frac{V^2}{R_{\mathrm{eq}}}\) から
\(R_{\mathrm{eq}}=R(1+Q^2)\)
並列回路では、電流を増やすので、外から見ると抵抗が小さく見える。
並列では電圧が共通で、リアクタンスは電力を消費しないので、同じ端子電流の等価回路を考えたときに消費電力が等しいという条件より
\(P=\frac{V^2}{R}=R_{\mathrm{eq}}I^2\) から
\(R_{\mathrm{eq}}=\frac{R}{1+Q^2}\)
Q:Quality factor(品質係数)
Qは無効電力の大きさを表す無効率で、
直列の場合は、 \(Q=\frac{X}{R}\) (同一電流でRに対する電圧の比⇒インピーダンスの位相角から定義)
並列の場合は、 \(Q=\frac{R}{X}\) (同一電圧でRに対する電流の比⇒アドミタンスの位相角から定義)
また、Qは「共振しているエネルギーが、どれだけゆっくり失われるか」を表す量で、
共振角周波数 \(\omega_{\mathrm{0}}\) 、蓄積エネルギー \(W\)、1周期あたりの損失エネルギー \(P\) を用いて、
\(Q=\omega_{\mathrm{0}} \frac{W}{P}\)
で定義される量です。 \(\omega_{\mathrm{0}}\) と外部からのエネルギー供給を止めたときに蓄積エネルギーが減衰する時定数τ に比例します。
共振点では、毎周期少しづつエネルギーが入るため、過渡状態ではエネルギーが増え続け、定常状態では損失量と平衡状態になります。
Qには、
・部品Q : コイル: \(Q_{\mathrm{L}}=\frac{\omega L} {R}\) 、 キャパシタ: \(Q_{\mathrm{C}}=\frac{1}{\omega CR}\)
・共振Q(Unloaded Q) : \(Q_{\mathrm{u}}\) ( \(\frac{1}{Q_{\mathrm{u}}}=\frac{1}{Q_{\mathrm{L}}}+\frac{1}{Q_{\mathrm{C}}}\) )
LC直列共振時では内部電流がQ倍、LC並列共振時(反共振)では内部電圧がQ倍になります。
・外部Q : \(Q_{\mathrm{e}}\) は、損失エネルギーP=外部へ流れ出るエネルギーから計算される量。
共振器が外の世界とどれだけ強く結合しているかを表す (共振器と負荷の「結合の強さ」)
・負荷Q : \(Q_{\mathrm{L}}\) (共振動作のときには、 \(\frac{1}{Q_{\mathrm{L}}}=\frac{1}{Q_{\mathrm{u}}}+\frac{1}{Q_{\mathrm{e}}}\) )
実測から、Qを \(Q_{\mathrm{f}}=\frac{f_{\mathrm{0}}}{BW_{\mathrm{-3dB}}}\) で求める。
・フィルタQ:1段の場合には負荷Qと同じ値となる。多段のフィルタ仕様で用いる。
・マッチングQ:マッチング回路の鋭さを表す。理想素子で考えた設計パラメータ
整合条件を満たすと仮定したときに、その形状・比率から一意に決まる
整合回路のリアクタンス比から決まる設計上のQ
「どれくらい大きなリアクタンスを使って整合しているか」「どれくらい強い周波数依存性を持つ整合か」
マッチングQが高いと、整合が狭帯域で、感度が高い設計になっている
があります。
マッチングQ(=マッチング回路のQ)は、
整合条件を満たす(設計で狙っている周波数で反射が0)と仮定した理想的な整合回路において、
整合を作るためにどれくらい大きなリアクタンス(LやC)を使っているかを表す数で、
それがそのまま「周波数にどれだけ敏感な整合か」を決めます。
マッチング回路のQに対して、共振Qの方が5倍以上大きくなるように、コイルとキャパシタを選択します。
(また、経験則で 部品の f vs Q 特性 の最大Qでの周波数≈自己共振周波数(SRF)の1/10以下になるとのことです。)